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大澤 英昭
技術士"ちゅうぶ", (12), p.34 - 41, 2023/09
日本原子力研究開発機構東濃地科学センター土岐地球年代学研究所の現況を紹介する。
地層処分研究開発推進部
JAEA-Evaluation 2022-007, 81 Pages, 2022/11
国立研究開発法人日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」という)は、「国の研究開発評価に関する大綱的指針」(平成28年12月21日内閣総理大臣決定)及び「文部科学省における研究及び開発に関する評価指針」(平成29年4月1日文部科学大臣決定)、並びに原子力機構の「研究開発課題評価実施規程」(平成17年10月1日制定)等に基づき、令和3年8月23日に「地層処分技術に関する研究開発」に関する事後評価及び事前評価について地層処分研究開発・評価委員会に諮問した。これを受けて、地層処分研究開発・評価委員会は、原子力機構で定められた評価手順に従い、原子力機構から提出された第3期中長期目標期間における研究開発の実施状況及び第4期中長期目標期間における研究開発の計画について評価を行った。本報告書は、地層処分研究開発・評価委員会より提出された事後評価及び事前評価結果(答申書)を取りまとめるとともに、本委員会での説明資料、及び評価結果に対する原子力機構の措置を添付したものである。
尾上 博則; 小坂 寛*; 松岡 稔幸; 小松 哲也; 竹内 竜史; 岩月 輝希; 安江 健一
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 26(1), p.3 - 14, 2019/06
高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価は、処分施設閉鎖後、数万年以上に及ぶ時間スケールを対象として実施される。そのため、長期的な自然現象による影響を考慮した地下水の流速や移行時間といった地下水流動状態の長期変動性の評価技術の整備は重要な技術開発課題である。本研究では、長期的な自然現象のうち隆起・侵食による地形変化や気候変動に着目し、それらに対する地下水流動状態の変動性を、複数の定常解析結果に基づく変動係数で評価可能な手法を構築した。岐阜県東濃地域を事例とした評価手法の適用性検討の結果、過去100万年間の地形変化や涵養量の変化による影響を受けにくい地下水の滞留域を三次元的な空間分布として推定した。本評価手法を適用することで、地層処分事業の評価対象領域において、地形変化や気候変動に対する地下水流動状態の変動性が小さい領域を定量的かつ空間的に明示することができる。さらに、岐阜県東濃地域における事例検討結果を踏まえて、外挿法を用いた地下水流動状態の変動性の将来予測の基本的な考え方を整理するとともに、将来予測手法の適用可能な時間スケールについて考察した。
濱 克宏; 笹尾 英嗣; 岩月 輝希; 尾上 博則; 佐藤 稔紀; 藤田 朝雄; 笹本 広; 松岡 稔幸; 武田 匡樹; 青柳 和平; et al.
JAEA-Review 2016-014, 274 Pages, 2016/08
日本原子力研究開発機構は、高レベル放射性廃棄物の地層処分の実現に向けた国の第2期中期目標(平成2226年度)に基づき中期計画を策定し、処分事業と国による安全規制の両面を支える技術基盤を整備するため、地層処分研究開発と深地層の科学的研究の2つの領域において研究開発を進めている。今般、本中期計画期間における深地層の科学的研究分野(超深地層研究所計画、幌延深地層研究計画、地質環境の長期安定性に関する研究)の成果を取りまとめるにあたり、処分事業におけるサイト選定から処分開始に関する意思決定ポイントまでに必要な技術情報を事業者・規制機関が活用しやすい形式で体系化し、所期の目標の精密調査(前半)の段階に必要となる技術基盤として整備した。
林 巧; 鈴木 卓美; 山田 正行; 西 正孝
Fusion Science and Technology, 48(1), p.317 - 323, 2005/07
被引用回数:10 パーセンタイル:56.74(Nuclear Science & Technology)核融合炉燃料であるトリチウムの安全貯蔵とその効率的な計量の観点から、ZrCo金属間化合物を用いた通気式熱量計量方式による「その場」トリチウム計量機能付き貯蔵ベッドを開発し、計量精度: 1%のITERの要求性能を実証するとともに、試験的に実用に供して総合的実証を進めている。本ベッドは、一次容器内にZrCo金属間化合物700gを充填したもので、ZrCoT1.8として約25g-T2,約100Lの水素同位体ガスを貯蔵できる。また、ZrCoの一次容器内に螺旋状の配管を有し、この配管内部にHeガスを循環することにより、貯蔵したトリチウムの崩壊熱を循環Heの温度上昇として計測し、トリチウム貯蔵量を計量できる構造となっている。今回は、長期保管後の計量性能の確認のため、約13gの純トリチウムの7か月間の安定貯蔵、及び約5gのトリチウムを同量の重水素で希釈したガスの5年4か月間の安定貯蔵の前後にくり返し熱量計測を実施し、初期の計量性能と比較した。その結果、計測条件(一次容器内に蓄積する3Heガス圧など)を整えることにより、初期の計量感度(約0.2g)及び精度(約0.05g)を維持できること、などを確認し、現状までのトリチウム貯蔵においては計量性能の劣化はないことを確証した。
牧野 仁史; 加藤 藤孝; 宮原 要
JNC TN8400 2000-033, 74 Pages, 2000/11
天然現象は地質環境の長期安定性に擾乱を与える可能性のある要因の一つであり、その発生の時期、頻度及び影響の形態などに関する不確実性を考慮することが必要であるため、将来において地層処分システムが天然現象の影響を被るものとあえて想定することにより、天然現象が地層処分システムの性能に与える影響を評価し、サイト選定に際して留意すべき天然現象とその影響について把握しておくことは重要である。このため、本検討では、地質環境の長期安定性に影響を与える可能性のある天然現象として、各国の例やわが国の特徴を踏まえた検討の結果抽出された、(1)隆起・沈降・侵食、(2)気候・海水準変動、(3)地震・断層活動、(4)火山・火成活動、の各天然現象について、それらの発生をあえて想定するとともに、それらが地層処分システムの性能に与える特徴的な影響に焦点をあてた検討を行った。その結果、変動シナリオに関しては、断層活動により地下水流れ及び核種移行の卓越的な経路となる断層が廃棄体を横切ることを想定した場合において、断層活動発生時期や断層内地下水流量の値によっては、最大線量が諸外国で提案されている安全基準やわが国の自然放射線レベルと同レベルとなる可能性のあることが示されたが、その他の天然現象については、最大線量が諸外国で提案されている安全基準を下回る結果が得られた。また、接近シナリオに関しては、地層処分起源の核種量ないしは核種フラックスが天然のものと比較可能なレベルである可能性が示唆された。これらの結果は、サイト選定に際して留意すべき天然現象とその影響についての情報として用いることができると考えられる。しかしながら、比較的簡単なモデル化を行うとともに、保守的な想定(条件)を組合せた評価の結果であるため、天然現象の影響が絶対値として大きいかどうかを直接的に判断するための情報として用いることには注意が必要である。
武田 精悦; 長谷川 健; 杉原 弘造; 中司 昇; 中野 勝志; 松井 裕哉; 石丸 恒存
JNC TN7410 2000-003, 65 Pages, 2000/11
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増田 純男; 梅木 博之; 清水 和彦; 宮原 要; 内藤 守正; 瀬尾 俊弘; 藤田 朝雄
JNC TN1410 2000-008, 100 Pages, 2000/10
核燃料サイクル開発機構(以下、サイクル機構)が平成11年11月26日に原子力委員会に提出した「わが国における高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性-地層処分研究開発の第2次取りまとめ-」(以下、第2次取りまとめ)に対し、『高レベル放射性廃棄物地層処分の技術的信頼性』批判(2000年7月20日)」と題するレポート(以下、批判レポート)が地層処分問題研究グループ(高木学校+原子力資料情報室)から公表した。批判レポートの記述内容には独断的な部分や誤解に基づくものも多々あることから、第2次取りまとめに関連した技術的な部分に対して、サイクル機構の見解を本報告書として取りまとめた。見解をまとめるにあたっては、批判レポートの第1章から第7章にわたって展開されている内容を対象とし、またそれらの関連性などを考慮して、本報告書を4つの章により構成することとした。第1章では「地質環境の長期安定性について」、第2章では「工学技術と深部坑道の安定性について」、第3章では「人工バリアの特性について」、第4章では「地下水シナリオに基づく安全評価について」として、それぞれ見解を述べた。本報告書に示した見解は、第2次取りまとめを構成する4つの報告書の記載内容に基づくものであり、関連箇所を引用する際には、それぞれ「総論レポート」、「分冊1」、「分冊2」、「分冊3」と略記した。
古市 光昭*; 戸井田 克*; 升元 一彦*
JNC TJ8400 2000-021, 196 Pages, 2000/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、廃棄体の定置後、処分のために建設した地下構造物を埋め戻し材、プラグ材、グラウト材により閉鎖し、人工バリアの健全性を保つとともに廃棄体の隔離性能を長期にわたり確保する必要がある。そこで、わが国の地質環境条件に適応し得るこれら閉鎖システムの確立に資するため、室内試験および原位置試験を通じてこれらの性能を定量的に評価していくことが必要である。本年度は、カナダAECLにおいて開始したトンネルシーリング性能試験におけるトレーサー試験のデータ解析、数値解析に関わる技術的検討及びそれに伴うプラグ周囲のシーリングシステムとしての評価を行うと共に、第2次とりまとめの閉鎖技術に関わる有識者のコメントに対する検討を実施した。以下にその概要を示す。1)AECL地下研究施設において実施しているトンネルシーリング性能試験に係わる、1、トレーサー試験のデータ解決及び数値解析、2、蒸発散量測定のデータ解決、3、ワークショップに関わる資料作成、の項目についての検討を行った。2)第2次とりまとめのドラフトに対して指摘のあった横締固めの機械及び手順についての説明とコンクリートプラグ部の岩盤耐力の検討を行った。
戸井田 克*; 升元 一彦*; 中村 充利*; 奥津 一夫*; 三浦 和彦*
JNC TJ8400 2000-020, 68 Pages, 2000/02
高レベル放射性廃棄物の地層処分においては、廃棄体の定置後、処分のために建設した地下構造物を埋め戻し材、プラグ材、グラウト材により閉鎖し、人工バリアの健全性を保つとともに廃棄体の隔離性能を長期にわたり確保する必要がある。そこで、わが国の地質環境条件に適応し得るこれら閉鎖システムの確立に資するため、室内試験および原位置試験を通じてこれらの性能を定量的に評価していくことが必要である。本年度は、カナダAECLにおいて開始したトンネルシーリング性能試験におけるトレーサー試験のデータ解析、数値解析に関わる技術的検討及びそれに伴うプラグ周囲のシーリングシステムとしての評価を行うと共に、第2次とりまとめの閉鎖技術に関わる有識者のコメントに対する検討を実施した。以下にその概要を示す。1)AECL地下研究施設において実施しているトンネルシーリング性能試験に係わる、1、トレーサー試験のデータ解決及び数値解析、2、蒸発散量測定のデータ解決、3、ワークショップに関わる資料作成、の項目についての検討を行った。2)第2次とりまとめのドラフトに対して指摘のあった横締固めの機械及び手順についての説明とコンクリートプラグ部の岩盤耐力の検討を行った。
加川 昭夫
JNC TN8200 2000-001, 40 Pages, 1999/10
1999年6月29日から7月2日までチェコ近郊のRez原子力研究所で、放射性廃棄物のビチューメン固化プロセスに関する安全性及び挙動評価に関する国際ワークショップが開催された。ワークショップの目的は、ビチューメン固化処理プロセスの実用的経験、新しいビチューメン固化処理技術の研究、開発及び実証、ビチューメン固化処理プロセスの安全性評価、中間貯蔵及び最終処分環境でのビチューメン固化体の安全性と適合性に関する情報交換である。本ワークショップでは、27件の研究成果の発表と討議が行われた。当方の発表題目は、「Influence of chemical and radiolytic degradation of bitumen on disposal」であり、機構におけるビチューメン固化体の処分に向けての研究成果を発表した。一方、他研究機関におけるビチューメン固化体の長期安定性に関する情報の収集を行った。また、ワークショップ終了後、チェコ、ベルギー、フランス、イギリスの原子力施設の見学を行った。本報告は、当方が発表し、聴講したセッションのビチューメン固化体の長期間の評価に関する報告と施設訪問の概をまとめたものである。
妹尾 宗明; 馬場 恒孝; 田代 晋吾; 下岡 謙司; 荒木 邦夫; 天野 恕
JAERI-M 8571, 9 Pages, 1979/11
高レベル廃棄物固化体の長期安定性の評価及び、地層処分条件を考慮した浸出率測定を行なうため、新たに耐圧ソックスレー型浸出率測定装置の開発を行なった。この装置を用いて、100Cから300Cまでの間の模擬廃棄物ガラス固化体の浸出率温度依存性の検討を行なった。295Cにおける浸出率は、100Cにおける値に比べ、セシウムでは約20倍、ナトリウムについては約7倍の増加が認められた。処分地層内では、処分初期においては、固化体近傍で、約100Cになることが予想されるので、高温における浸出率の評価は不可欠なものである。また、長時間の浸出率の評価を行うためにも、本装置は、高温における加速浸出試験法として適用可能である。
三枝 博光; 水野 崇; 梅田 浩司; 安江 健一; 笹尾 英嗣; 岩月 輝希; 加藤 智子; 國分 陽子; 竹内 竜史; 松岡 稔幸
no journal, ,
地質環境長期変動モデルの開発において、内陸部と沿岸部を事例とした分野間のFEP(地層処分システムに影響を及ぼすと考えられるシステムの特徴、そこで生じる事象や過程)の相互関係を検討し、それらに基づいて一般的な統合数値モデルの構築のための作業手順を整理した。また、統合数値モデルを可視化する技術を検討した。
松岡 稔幸; 小松 哲也; 安江 健一; 尾上 博則; 大山 卓也; 岩月 輝希; 笹尾 英嗣; 梅田 浩司
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、将来の自然現象に伴う地質環境特性の長期安定性を評価するために必要な超長期の地質環境特性の変動を考慮できる数値モデル(以下、地質環境長期変動モデル)の構築に関する技術開発を進めている。本稿では、幌延地域を事例とした地質環境長期変動モデルの技術開発に関するこれまでの取り組み及び成果の概要を示す。地質環境長期変動モデルの開発は、海水準変動による陸域の変化や地形・地質の変化などを考慮して、海域と陸域を含む東西約100km、南北約30kmの領域を対象とし、これまでに整理した過去数百万年から現在までの地形・地質発達史に基づき、現在及び過去の地形・地質モデル(約1Ma、約330ka)を構築した。さらに、構築した地形・地質モデルをベースとした地下水流動解析を実施し、その解析結果に基づく地下水流動特性の長期変動の空間分布の推定、地下水流動特性評価における重要因子の抽出手法を具体例として示した。
尾上 博則; 小松 哲也; 安江 健一; 岩月 輝希; 竹内 竜史; 加藤 智子; 笹尾 英嗣; 梅田 浩司
no journal, ,
日本原子力研究開発機構では、将来の自然現象に伴う地質環境特性の長期安定性を評価するために必要な超長期の地質環境特性の変動を考慮できる数値モデル(以下、地質環境長期変動モデル)の構築に関する技術開発を進めている。本稿では、東濃地域を事例とした地質環境長期変動モデルの技術開発に関するこれまでの取り組み及び成果の概要を示す。地質環境長期変動モデルの開発は、約20km四方の土岐川流域を対象とし、これまでに整理した過去数百万年から現在までの地形・地質発達史に基づき、現在及び過去の地形・地質モデル(300万年前, 100万年前, 45万年前, 14万年前)を構築した。さらに、構築した地形・地質モデルをベースとした地下水流動解析を実施し、その解析結果に基づく地下水流動特性の長期変動の空間分布の推定、地下水流動特性評価における重要因子の抽出手法を具体例として示した。
安江 健一; 笹尾 英嗣; 尾上 博則; 岩月 輝希; 加藤 智子; 竹内 竜史; 國分 陽子; 浅森 浩一; 梅田 浩司
no journal, ,
原子力機構では、経済産業省委託事業「地層処分技術調査等事業(地質環境長期安定性評価確証技術開発)」を進めており、第四紀の地殻変動とそれに伴う地質環境の変動等を表現できる数値モデルとして「地質環境長期変動モデル」の開発とモデル構築に必要な個別要素技術(革新的要素技術)を開発する。地質環境長期変動モデルでは、東濃地域と幌延地域を山間部と平野部の事例としてモデル構築手法を検討すると同時に、これまで個別に進められてきた地質環境の各分野のモデルを統合的に取り扱い、地質環境の長期的な変動を表現できる数値モデルの構築の方法論を整備する。また、モデルの妥当性の確認及び不確実性の評価のための方法論や、構築したモデルを効果的に表現する可視化技術を検討する。革新的要素技術では、長期的な時間スケールでのモデル化及びその解析評価に必要な技術として、山地の形成過程を推定する後背地解析技術、過去の涵養量を古気候や古地形の情報から推定する地下水涵養量推定技術、過去の地下水の化学的状態とその時代を推定する炭酸塩鉱物測定技術、過去から将来の地殻変動を数値シミュレーションから推定する地殻変動予測技術を開発する。
徳安 佳代子; 安江 健一; 小松 哲也; 田村 糸子; 堀内 泰治
no journal, ,
本技術開発では、山地の形成過程把握に向けた後背地解析技術として堆積物中の石英粒子ESR信号特性を用いた手法開発を進めている。東濃地域には、中新世の瑞浪層群と中新更新世の東海層群(上位の土岐砂礫層を含む)が広く分布しており、その基盤は北部北東部では主に美濃帯の中生代付加体堆積岩と濃飛流紋岩、山陽帯の花崗岩、南部では主に領家帯の花崗岩類である。このような地質的特徴は、堆積物の供給源特定に適している。ESR測定に用いた試料は、木曽川支流の付知川と阿寺断層の間の採石場にみられる土岐砂礫層中の砂層、東濃地域とその周辺に分布する基盤岩(濃飛流紋岩、山陽帯及び領家帯の花崗岩類)である。露頭観察から砂礫層の下部と上部では後背地が異なることが想定される。ESR測定を行った結果、下部の堆積時(約3.92.0Ma)には流域に花崗岩が露出しておらず、上部の堆積時(約2.0Ma以降)に花崗岩が露出した可能性が推定でき、ESR特性により堆積物の供給源の変化を推定できる可能性が見出された。本報告は、経済産業省資源エネルギー庁委託事業「地層処分技術調査等事業(地質環境長期安定性評価確証技術開発)」の成果の一部である。
徳安 佳代子; 安江 健一; 小松 哲也; 田村 糸子; 堀内 泰治
no journal, ,
原子力機構では、東濃地域に分布する堆積物を事例に、石英のESR信号特性を用いて、砕屑粒子の供給源を推定する手法の開発を進めている。東濃地域を流れる木曽川支流の付知川と阿寺断層の間に位置する採石場には、土岐砂礫層が厚さ約30mで堆積しており、その周辺には、基盤岩である濃飛流紋岩と山陽帯及び領家帯の花崗岩類などが分布している。石英粒子のESR特性は、その起源に関する情報を示す可能性があるため、本技術開発では、堆積物及び周辺基盤岩の石英粒子のESR特性を明らかにするとともに、ESR特性を用いた供給源推定手法の有効性について検討を行った。ESR測定に用いた試料は、土岐砂礫層及び、その周辺に分布する基盤岩(濃飛流紋岩、山陽帯及び領家帯の花崗岩類)である。ESR測定の結果、下部の砂層の信号強度は濃飛流紋岩の値に近く、上部の砂層の信号強度は山陽帯花崗岩に近い値を示した。これより、下部の堆積時(約3.9-2.0Ma)には流域に花崗岩が露出しておらず、上部の堆積時(約2.0Ma以降)に花崗岩が露出した可能性が推定でき、ESR信号特性を用いることで堆積物の供給源の変化を推定できる可能性が見出された。
石丸 恒存
no journal, ,
東濃地科学センター土岐地球年代学研究所において進めている「地質環境の長期安定性に関する研究」では、最終処分事業における候補地の選定プロセスや安全評価、国の安全規制における安全審査基本指針等の検討・策定等に必要となる科学的知見や調査・評価技術を提供するため、(1)自然現象に関する過去の記録や現在の状況を調査するための体系的な技術の開発(調査技術の開発・体系化)、(2)将来の自然現象に伴う地質環境の変化を予測・評価するための手法の開発(長期予測・影響評価モデルの開発)、および(3)最先端の機器分析装置等を用いた放射年代測定や時間指標層(テフラ等)の高分解能同定法等による編年技術の開発・高度化(年代測定技術の開発)の3つのカテゴリーで引き続き研究開発を進めている。このうち、年代測定技術の開発においては、これまで、土岐地区の既存の加速器、分析室等の施設を活用し、炭素14やベリリウム10等の年代測定法の整備・実用化を進めてきたが、最先端の機器分析装置の導入を機に、平成26年11月に事務所の名称を「土岐地球年代学研究所」へ変更し、年代測定技術の高度化および年代測定手法の標準化を目指して研究開発を推進している。